滝和也

エイリアン4の滝和也のレビュー・感想・評価

エイリアン4(1997年製作の映画)
3.5
復活のリプリー!
エイリアン新生!

でもストーリーは…。

「エイリアン4」

前作でキリストの如く、人類を救うため、犠牲となり、T2さながらにクイーン幼体と共に溶鉱炉に消えたリプリー。神の奇蹟さながらに、クローン体となり200年の時を超え復活!だがそれは悪魔を引き連れ戻ることを意味していた。エイリアンクイーンも復活し、12匹のエイリアンを産み、兵器利用しようとしていた軍の宇宙船は阿鼻叫喚の地獄絵図に変わる…。

エイリアンシリーズの様式美を守りながら、新しいことにチャレンジしようとする点は好感をもてる。エイリアン1及び3の展開を受け継ぎ、脱出・生還、エイリアンの地球到達を防ぐミッションが主軸となる。そこには裏切り者(ミッションを妨害するもの)と命なきもの(生体アンドロイド)が存在し、物語のキーとなる。そして二段構えのクライマックス。これは間違いなく今回も受け継がれている。

エイリアンが過分に性的な存在であるのも変わらないし、(そもそもデザインがそうであるゆえ)繁殖、そのための捕食等の行動は変わらない。ただ…余り受け継いで欲しくない点も受け継いでいる。リプリーの存在が基本エイリアンに襲われないと言う3のキャラ設定である。何かを守ろうとし、自らの危険を省みず、身を捨てて戦う点がやはり弱くなる…その点からも2には及ばない。なんとなく危機感が高まらないのだ。

新機軸としての新エイリアンも、リプリーの母性を別方向から再び打ち出したものの、そのデザインが優秀とは言い難い上に、それに母性を感じるか?と言う微妙さ…。

ただ前作からの反省からだろうか、リプリー以外のキャラ設定は特徴的な外観と相まって上手くいっている(笑) 何よりもロン・バールマンがいる。これ程見分けがつくキャラはない(笑) 見た目通り、ジャイアンキャラなのはご愛嬌だが。そしてウィノナ・ライダー演じるコールの不思議な存在感。子供の様にも、美女にも見える、その中性的な美しさが執拗な迄に血生臭い物語に華を添える。

今作の残虐描写はエイリアン内ではトップクラス。ただそれが印象深いかと言うとそれほどでもない。やはり泳ぐエイリアンの演出(宇宙船内なので唐突だが(笑))やウィノナの撃たれる演出の方が印象に残る。また序盤の演出がかなりスローなのでそこは惜しいところ。リプリーを存在させるためには説明を要するため致し方無いだろう。

総合的には及第点かな…。物凄く面白いかとは言えないものの、まるで駄目でもない。ではプロメテウスへ向かいます(^^)
滝和也

滝和也