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ショーン・オブ・ザ・デッドのSUIのレビュー・感想・評価

4.5
なんだこれクッソ笑うじゃないか!

仕事も恋愛も何をやってもパッとしないショーンが、ガールフレンドのリズに三行半を突きつけられる。傷心のさなか、気づくと街中ゾンビだらけになっていた。ショーンはルームメイトのエドと共に、母親とリズの救出作戦を決行し、行きつけのパブ「ウィンチェスター」へと逃げ込むのだった。

自堕落で引きこもりのTHEダメ人間エドのキャラがもう最高。
ショーンは彼と一緒にいてこそ、その真価を発揮することができる。
そういう意味でも、エドと常に行動を共にして、人からなんと言われようとも離れようとしない二人の関係性に説得力がある。
さらには、この二人の関係性こそが衝撃のラストへの布石にもなっているという周到さよ。

歯切れのいいカットやバッサリ切るようなセリフ回しが小気味よく、基本的にはコメディタッチでまとめられている。
それでいてゾンビ物の恐怖を煽る描写やグロテスクなお約束の表現は、一応というかしっかり踏襲されていた。

そして、ゾンビ物の宿命ともいえる「どうやって収束させるか」という問題に関しては、今作品で提示されたものはひとつの結末として納得のできるものだったと思う。
まあ多少の無理矢理感は否定できないけど、それでも“なるほど”と感心させるだけの形は示せているはずだ。
少なくとも、煽るだけ煽っておいて投げっぱなしで終わる凡作よりはだいぶまともだ。

色々な意味で最後まで計算されつくした、かなりよくできた面白い映画だった。
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