LalaーMukuーMerry

縞模様のパジャマの少年のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

縞模様のパジャマの少年(2008年製作の映画)
4.4
ホロコーストの映画はたくさんある。
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(1)強制収容所の現実を描くことがストーリーの軸になっているもの
「シンドラーのリスト(1994)」「ライフ・イズ・ビューティフル(1999)」、「灰の記憶(2001)」「サウルの息子(2015)」…

(2)ホロコースト裁判を描いたもの
「ハンナ・アーレント(2012)」、「否定と肯定(2017)」…

(3)ホロコーストを経験したor関わった人の人生や出来事を描いたもの
「ソフィーの選択(1982)」、「愛を読むひと(2008)」、「サラの鍵(2010)」、「黄色い星の子供たち(2010)」等たくさん…
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この作品は、ジャケの絵からおおよそは想像ついてましたが、見るのに一番覚悟が必要な(1)に入ると思います。フィクションという点では「ライフ・イズ・ビューティフル」と同じですが、あっちが大きな感動を呼ぶラストなのに、こっちはラストで真逆の感情を強烈に引き起こします。(ホロコースト映画の初体験がこの作品だったら深く心に残るはずだけど、いくつか見てきた私には感受性が鈍ってきている部分があるのがちょっと残念)
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ナチスはユダヤ人を公然と差別してゲットーに押し込めた。その後ゲットーから強制収容所送りにしたのだが、そこで何をしていたかは極秘事項だった。都合の悪いことを隠蔽しようとする組織の体質はろくなものじゃない。表と裏、建前と本音、両者の矛盾が鮮明になる現場が必ずあり、その狭間で苦しむ人たちが必ずいるということを改めて思った。何が正しいことなのか? 自分の思いを表現することが許されない社会は、こういう悲劇を生む土壌を育てているということですね。