くわまんG

ル・アーヴルの靴みがきのくわまんGのレビュー・感想・評価

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)
5.0
誰かを助けるのに理由が要るかい?
──ジタン・トライバル

みどころ:
心を磨けば奇跡が起こる
可笑しくて雄弁なカット
トライバルな音楽
ターコイズブルー
不味そうなメシ
かわいい犬

あらすじ:
マルセル・マルクスを知る人は皆、一様に彼を愛している。元パリジャンの老いた靴磨きを、妻は母親のように愛している。ツケだらけでタチの悪い客を、パン屋は無償で愛している。酒場のママも、雑貨屋の親父も、地元の漁師も、手放しで彼を愛している。なぜなら彼らは、そうせずにはおれぬ理由を知っているから。
理由もなく底抜けに気前良くされると、人は救われるもの。やさぐれていた人は欲を捨て、臆していた人は法を無視し、死にゆく人は恐怖を手放す。そして、善意を感染された子供は、いつか世界を救うかもしれない……。

「彼が好きか?」
「ええ。とっても。」

私達は、子供に残し伝えるものを、どうやって選べばよいか。答えはマルセル達が知っている。何かを変えたいのなら自分が変わればよく、満たされた人は欲に煽られない。良いことをすれば良い気分で、その延長線上にのみ人間の真価がある。そうして心が洗われるのを、私達が常に忘れないでいられたなら…!

優しく、優しく、優しい奇跡の起こし方。あらゆる宗教が説く真理に、最小限の親しみをこめて、90分で結んだ珠玉の聖書。世界中のひとにオススメ。