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ニューオリンズのmiwanのレビュー・感想・評価

ニューオリンズ(1947年製作の映画)
4.2
オペラ歌手のミラリー役のドロシー・パトリックが本当にかわいくて素敵

1917年、ニューオリンズのベイスン・ストリートで賭博場を経営するニック・デュケインは、「サッチモ」ことルイ・アームストロング(本人)をバンドリーダーとするジャズバンドの演奏する音楽を楽しんでいる。
そして、ミラリーの家のメイドであるエンディ(ビリー・ホリデイ)も、仕事の後にそのバンドの演奏に合わせて歌うことを楽しみにしている。ある夜、ミラリーはエンディと共にニックの店を訪れ、彼らの音楽に魅了される。
しかし、ミラリーの母親であるスミス夫人は、オペラ歌手である娘が、クラシック以外の音楽に接することを嫌う。
ミラリーが、音楽と共にニックにも興味を持っていることを知ったスミス夫人は、娘の将来を考えて彼らを街から追い出そうとする。

ルイ・アームストロング、ビリー・ホリデイ、ウディ・ハーマンらのミュージシャンたちがご本人役で出演している。
もちろん音楽も素敵だけれど、何より心から楽しんで演奏する姿に幸せを感じる。
そして、決して交わることのないクラシックとジャズではあるけれど、徐々に接近してゆき、一瞬それぞれが同じ音を奏でる場面が、音楽の融和性を象徴しているかのようだった。交わらないのは音楽そのものではなくて、社会的体裁や風習に囚われている人間なのだろう。
また、ニューオリンズから追い出された彼らがミシシッピ川を上りシカゴへと行き着き、新天地で成功を収める様子は、ジャズの歴史を物語っているかのようだ。

最後のコンサートのシーンは、じんと胸が熱くなる。
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