ふしみあい

THX-1138のふしみあいのレビュー・感想・評価

THX-1138(1971年製作の映画)
4.0
ジョージ・オーウェルの小説「1984年」的世界観。てかもうそのまんま!
ディストピアを描いた近未来作品。顔の見えない、監視者に24時間監視され、管理される社会。
「もっと働こう。もっと消費しよう。幸せになろう。」
消費社会への警鐘だなあ。
ロボット警官が人々を取り締まり、違反をすれば通報され、排除される。人は社会を動かす歯車でしかなく、ナンバリングされている。しかし、なんのための社会なのか。許された自由しかなく、主人公はその中でやっと”生”を実感できる相手に出会う。
しかし、それも違法なのである。ひとが感情を持つ事は許されないのである。

この世界観、すごく好みなのですが、名作、ブレードランナーやガタカ、未来世紀ブラジルと同じくディストピアという題材を扱っているものの、世界観は結構違って、潔癖とも思えるほど徹底された管理社会を描いている。真っ白な壁に真っ白な部屋、真っ白な衣服にヒゲも髪も剃り落とした人々。
なにからなにまで徹底して人間性というものが排除された中で、主人公は自分とは何かということを探し求め、逃げ惑う。

先日、レッドタートルを見たばかりなので、どこから来たのか、どこへ行くのか、というフレーズが浮かんだ。

ビジュアル的には完璧で、印象的なシーンがいくつもある。
ロケ地のアメリカの建物は、ガタカの会社と一緒だね、いつか行ってみたい。
最後のエンディングの入りは秀逸。

今見ても色褪せない良質SFでした。真っ白な何もない空間で主人公が長い棒で小突かれるシーンは超シュール笑
ジョージ・ルーカス、こんなん撮ってたんやね、、好き