イライライジャ

山の焚火のイライライジャのレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
3.4
近親相姦を美しいものにしてしまってもいいのだろうか。辺り一面草原や雪しかない状況下で若い男女はお互いしかおらず、地球上に自分たちだけしかいない様な錯覚に陥る。これは恋ではなく精神的な支え合いだと思う。聾唖で喋ることも出来ない障害を持つ弟を、教師を目指す姉が支える。一見支えてるのは姉のように見えるが実は逆で、あのままでは姉の方は環境や重圧に耐えきれず感情が押し潰されていたように感じる。
弟は案外ケロッとしていて楽しそうだから弟にとっては性を満たす衝動的な好奇心でもあり、一線を超えた感情があったかもしれない。禁忌であることは承知しながらも心も身体も制御出来ず悲劇に繋がる。
でもそんな出来事もスイスの広大な風景の中ではちっぽけな存在となる。