夏が来るとエリック・ロメールが観たくなる。本作はロメールの記念すべき初カラー作品であり、六つの教訓物語の一つ。
バケーションを過ごすため別荘に訪れた主人公が、家主であり男を「コレクション」するかのように関係を持っていくアイデに惹かれていく。
ショートカットに健康的なスタイル、童顔ながら色気がある。これだけでも理想的なのに、移り気で自由を好む生粋のモテ気質。これは出会う男性が皆アイデに夢中になるのも納得。
陽光で輝く海と夏風に揺れる木々。自然の音か心地良い音楽のみ聴こえる贅沢な環境で繰り広げられる男女の恋の駆け引きが、ロメール特有の詩的とコミカルさのバランスが絶妙。
終わり方があっさりめで凄く好み。主人公の視点で恋愛模様が描かれていたので、あまり多くを語らずミステリアスなアイデ側の視点からの世界も見てみたい。
同時上映だった短編「パリのテジャ」はロメールのパリ愛が詰まった傑作でした。モノクロの映像は、モダンとレトロが混在したパリをカラーよりもシンプル且つ明確に視聴者の心に届けてくれたような気がします。