ドント

空の大怪獣Qのドントのレビュー・感想・評価

空の大怪獣Q(1982年製作の映画)
3.5
82年。おもしろい。ラリー・コーエン監督が贈る怪獣映画。ニューヨークで窓拭き男の首がもげたり、全身の皮膚を剥がされた死体が見つかるなどの怪死事件が続発。警察が困惑する中、チンケな強盗に関わった男が逃げ込んだビルの屋上、そこに巨大な巣と卵が……!
そりゃーまぁ、低予算作品であり怪獣が超絶大破壊の大暴れとはいかないのだけど、ツボを押さえた流れが気持ちよく、また怪獣氏の出番が少ない部分を「古代儀式に関わる猟奇事件」「巣の場所を知る男が冗長しまくる胸糞悪いドラマ」でカバーする心遣いもナイスで最後まで楽しめた。特に後者、「俺はこの街を救えるヒーロー様だぞ? 1億円よこせや?」とぬかすクソ野郎っぷりが素晴らしい。痺れる。
アステカの秘儀やNYのビル街をスッとよぎる巨影のハッタリ、省エネと見せ場をきっちり分けた襲撃シーンやフラグも何もなく死ぬ人々など心地よい勢いと乱雑さに満ちた充分におもしろい作品。女性がさらわれた後で、街を歩く人の顔や腕に空から血がポトポト落ちてきてパニックになる描写が「見せない残酷」として秀逸。
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