レオピン

ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!のレオピンのレビュー・感想・評価

4.0
リースの顔が濱田マリにしか見えん

スクールカーストの典型、優等生政治家キャラ。授業で率先して手を挙げるけれど当てたくない。ここわざわざストップモーションで見せてくれるが、あの小憎たらしい顔が「これから一体何人の人間を踏みつけて行くんだ」とマキャリスター先生の正義心に火をつけた。

勤続12年、結婚生活9年の高校教師も道を踏み外すことはままあるもの。隣りの人妻リンダとモーテルで盛り上がるはずだったのだが。。
6限目を適当にプリント配ってテストをやらせ、その間にモーテルでセッティング。もうウハウハ。鼻の下が伸びきってます。そして学校に戻りさっさと退勤。ルンルンでリンダの家へ。よだれが止まりません。

だがしかーし、
リンダの家はもぬけの殻でおまけにまぶたを蜂に刺される。泣き面にハチw
この膨れ上がった顔になってからの悲劇の展開が面白い。この蜂ってなんか寓意かなんかあるんでしょうか。

憎しみはすべてトレイシーに向かう。ポスター破りはあいつだ。絶対にあの女を当選させてなるものか。捻じ曲がった正義に占領された先生の心は暴走し破滅へと向かっていく。

最初に出てきた用務員のおじさんの伏線に笑。床に冷蔵庫の残飯をぶち撒けたことへの怨み。それ掃除するのは俺なんだぞってw

ただちょっと見逃せなかったのがトレイシー母の教え
「弱者は強者を妨害する」
これって完全にアイン・ランド的発想。リバタリアン的思考。強者こそ尊い。弱者は強者の肩にぶら下がって不平不満をたれ流すだけの極潰しだと。お前らはトリクルダウンを有り難くすすってろと。今時流行りの生産性の議論に通じる。

恵まれない環境で刻苦勉励して地位を築いた人間は、努力しない人間にやたら厳しいというこの世の真理があるが、これだけ見てもトレイシーがどういう人間になるのかは予想がつく。

確かに家は母子家庭。上昇志向だけが武器だ。ああでないとガラスの天井を打ち破るなんて無理なのかもしれない。だけど、、

トレイシー型の人間ってのはどこにでもいる。一番病や優等生病。在学中に内申を稼ぐためにありとあらゆることを行う。学業以外にボランティア、スポーツ、生徒会活動。すべては目標地点から逆算され、それ以外のことは見事に眼中にない。生き方が全て一本調子。心の内から湧き上がるものは何一つない。
ラストでワシントンで彼女が政治家見習いみたいなことをしているところに遭遇し、今でもきっと朝5時起きなんだろうと蔑む台詞があったが、

この子がやがて『キューティ・ブロンド』で弁護士となり、その後『わたしに会うまでの1600キロ』でとうとう人生の危機を迎え数千マイルを踏破するのかと、全くカンケーない作品をひとつにつなげて思いにふけったり。

とにかくおいらは断然マキャリスター先生が好きだし、トレイシーのような人間に自分の住む世界を乱されたくない。平凡な人生それの何が悪い。家庭を持ち職につき、妻が寝た後で隠し持っていたAVをこそこそ見たり、一時の過ちで同僚の奥さんとどうにかなったり。
マキャリスター先生は悪くない。マキャリスター先生は教えることが好きだし、マキャリスタ、、マキャ、、しかし言いにくい名前だな。。

⇒音楽:ロルフ・ケント
⇒トレイシーが癇癪を起こすときの曲 モリコーネ『さすらいのガンマン』(‘66)

⇒YouTube The Original/Alternate Ending To "Election" 大分印象の違うラスト
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