Jaya

仮面の米国のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

仮面の米国(1932年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

第一次大戦から復員したアランが巻添えでチェインギャングとして収監され脱獄して建築技師として成功するも妻の密告で再収監され再脱獄するお話。「World War」に「one」が付かない時代。

アランことポール・ムニの台詞読みはイマイチだけど表情や仕草がめちゃくちゃハマっててカッコいいです。兄牧師の感性の硬直した不気味な表情が印象的。

自伝ベースらしくかなりテンポよく出来事が進みますが違和感は殆どない。アランの抑制が効いた人物像自体が戦争のトラウマと変容を意識しているのかなあ。収容所の描写が的確で簡潔。

後半は社会派の様相で、苛烈な服役環境への告発。南北の対立や州の権限などの米国ならではの事情がややこしい。一応の理屈付けは上手いですが、ここまで派手に約束を反故にできるかなあ。

圧巻は2度の脱獄。1度目では水中の音響含め美しい。2度目は迫真のカーチェイス。逃走の象徴としての自らも建造してきた道や橋を逃走のために破壊する。最後のアランの表情が素晴らしい。

多くの要素が詰まっていながら全てを簡潔に捌く技量が素晴らしく、その中にも理不尽への義憤が幾層にも感じられ、映画の完成度の高さを感じた作品でした。
Jaya

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