このレビューはネタバレを含みます
当時の淡水での生活の雰囲気が見られる貴重な映画。海辺には、今のようにお店ばかりではなく住宅が並ぶ。多くのベンチや柵がある場所にも、当時は簡素な堤防しかない。当時の雰囲気も今の雰囲気も、どっちにしても良い場所。淡水という場所の持つ詩的な雰囲気がとても良い。『言えない秘密』での淡水に比べて、“この風景が当たり前にあること”として撮っている感じがした。
ストーリーは普遍的で、親と子のすれ違いとか、ちょっとした恋愛とか、悪友との悪戯とか、日本でも台湾でも変わらない。なのに、なぜかぐっとくるのはどうしてだろう。これも淡水という場所のなせる技かもしれない。
新しい革靴を履いての初デートが始まるときの音楽と、帰ってきて母の自殺を知るシーンが素晴らしく良かった。