だい

飢餓海峡のだいのネタバレレビュー・内容・結末

飢餓海峡(1965年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

海峡ってのはあれだな。
津軽海峡のことかと思っていたけど、
どうやらそうではなさそうだ。

心だったり、
立場だったり、
いろいろそういう、あれだな(語彙不足)。


犯罪者・犬飼は、函館から津軽海峡を渡って、
富豪・樽見になった。

最後また、
津軽海峡を渡って犯罪者に戻る。

樽見と犬飼の境目でそれを拒んだラストシーン。



社会の日陰者として、
いくらかでも心の通じ合った犬飼と八重。

社会的立場が変わったことによって、
そこに渡ることのできない海峡が生まれたこと。

八重が欲していたのは、
まるで飢えているかのように渇望していたのは、
それはいったい何だったんだろうな?

たぶん愛ではなくて。
もちろんお金でもなくて。



実質的な主人公は間違いなく八重で、
そこに作品のテーマの大半が詰まっていると思うのだけれど、
それなら刑事ドラマ的なものはもう少し削ってもよかったな。
弓坂刑事のエピソードとか、
あそこに悲劇性を差し込んだことで、
結果的にどっちつかずになっちゃったよな。



今では青函トンネルで列車が往来し、
飛行機に乗ることも当たり前になった時代。
ぼくが物心ついた頃にはそうやって、
誰もが当たり前のように陸路で、空路で、本州と北海道を行き来していたのだけれど。

でもそうなる前の時代、
きっと北海道と本州を行き来するのは当たり前じゃなかったんだろうな。
その感覚を持っている時代の人にしかわからない何か。

そういうものがあるかもしれないから、
ぼくはこの映画を真の意味では永遠に理解できないのかもな。
と、そう思った。
だい

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