優しいアロエ

グラディエーターの優しいアロエのレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
3.9
〈漢は不条理と戦い続ける〉

 体中の血が騒いでいる。興奮と感傷にアドレナリンが全開。剣闘士ごっこをしないことには発散できそうにない。

 『ベン・ハー』にしろ『スパルタカス』にしろ、ローマ帝国の漢一代記はその裏のなさや熱苦しさがどうも苦手ではある。しかし本作は、同じ部類にカテゴライズされる作品でありながら、燃えるところは燃えることができた。

 偏に、ラッセル・クロウがハマっていた。寡黙で忍耐強く、心の奥底で沸沸と怒りを灯す。どこか小学生のようなラッセル・クロウが、どこか中学生のようなホアキン・フェニックスと火花を散らすのだから、それはもう萌えてしまう。

 さらには、ブレた戦闘映像の応酬、そしてハンス・ジマーの「ダンダンダン、ダダン!ダンダンダン、ダダン!」という音楽。『パイレーツ・オブ・カリビアン』のテーマも同じ右脳から生まれたようだがそれも納得。激似である。

 トラが出てきたりなど、正直わけわからないのに熱くなってしまうような演出が後半もてんこ盛りで、そこに幾分かのアート性が上乗せされ、見事な見応えの作品ができあがった。
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