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イグジット・スルー・ザ・ギフトショップのAirconのレビュー・感想・評価

3.9
グラフィティアーティストたちの映像を撮っていた人が、そのときに得た人脈を使ってアーティストとして大成功してしまうという皮肉が効いた内容。

バンクシーが彼が作ってきた映像を観てドン引きしてるのとか、適当にペンキたらしたり、既存の作品をリファレンスしてるだけだったり、どうしようもない描写とは裏腹に、上手な宣伝で大物アーティストに成り上がってしまう。

元々、「クソのような作品をバカに売りつける方法」ってタイトルにするつもりだったみたいだし、あんなのが絶賛されてるって状況を複雑な心境で観るという、大衆に対する悲しみとか諦めみたいな。。。

でも映画の意図通りにミスター・ブレインウォッシュのことを完全にFAKEだとするのもちょっと癪な感じもする。
なにも考えてなくても良いアートは生まれると思うから。
まあ映画に出てた彼の作品は一個も良いとは思わなかったけど。

彼の人柄もあってバンクシーたちも協力してしまったんだし、場当たり的ではあってもビジネスとしては完全に正解だし、そこで、観てる人たちやバンクシーのアートの定義とか線引きが見えてくるんだと思う。

アートとビジネスの切っても切れない関係というか、いくら良い画を書いていても宣伝をしないと売れないわけだけど、クソな作品でも宣伝すれば売れるという。

大衆を扇動することは政治でもビジネスでも重要なことだけど、クソのような作品を宣伝で売りつけることは、長期的にはアートを殺すことになるのか、生かすことになるのか。
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