Melko

ロバート・アルトマンのイメージズのMelkoのレビュー・感想・評価

3.6
“Go away, go away! I killed you…”
“Not me Cathryn. Not me.”

うーーーーん、映画としてはすごく高い完成度なのだろうけど、単純に好みではなかった。見てるのがなかなか苦痛だった…それなのに最後まで見れたのは、画面の映し方と音楽の不安の煽り方がハンパなくて巧みだったからである。

愛する夫の不倫を密告するような電話を受けるキャサリン。目を閉じて夫とキスして、目を開けたらそこにいたのは死んだはずの不倫相手でした、なんて恐ろしすぎる。どうなってんの
で、時折彼女自身のドッペルゲンガー的幻影まで見える
ってことで、キャサリンは精神を病んでるのねって思って見てたけど、他の方のレビューを読んで、なるほど、統合失調症か。

とにかく見てて不快だったのは、キャサリンが2人の元不倫相手からやたらと迫られたり強姦まがいに犯されそうになる場面。特に鬼気迫るスキンシップのマルセルはキモさの極み。
かつて不倫関係だったのだから、キャサリンもちゃんと相手に好意を持っていたんだろうけど、夫が全てになっている今となっては迫られても嫌悪の対象でしかない。
しかも旦那もポワポワ系の自己中ポンコツで、度重なる幻影に苦しむキャサリンの話に耳を傾けてるようで、実のところあんまりちゃんと聞いてない。だから最後あんなことになったのでは…と思わずにいられない。「愛してる」と言っていたが、キャサリンという人間の本質をちゃんと見ていたとは到底思えない。

1人で過ごすことが多いと、イマジナリーフレンドができたりするのかな
孤独を埋めるための空想の存在
それは自分の闇の部分
キャサリンの場合はもう1人の自分
どこかのタイミングでしっかり決別できていないと、いつの日かひょっこり出てきて、ずっと後をついてくるのかも。。

なんか音楽がとにかくずっと気味悪いなーと思ったけど、お化け屋敷の中で流れる音楽(というか効果音)がずーっと流れてる感じだった。
と思ったら音楽ジョン・ウィリアムズなの?らしさをあまり感じなかったのは、ほぼ同じ音と打楽器しか鳴ってなかったからか…?

スザンナ役の女の子可愛かったなーと思ったら、もう亡くなっているとは…
役者と役の名前がテレコになってるのは自分のペルソナに向き合う意図なのね。
子供の頃自分のことを名前で呼んでた子も、いつのまにか一人称に変わっていくし、それが一種の自我の確立なのかしら。あと、目の前の他人に向かって自分の名前を呼ぶのって、めっちゃ変な感じ。それが混沌と向き合うということなのか

完成度は高いのだろうけど、好きか嫌いかでいうと、嫌いな作品でした
Melko

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