きざにいちゃん

サン・ジャックへの道のきざにいちゃんのレビュー・感想・評価

サン・ジャックへの道(2005年製作の映画)
3.5
世界遺産に指定されたカトリック3大聖地の一つサンティアゴ・デ・コンポステーラ(サン・ジャック)巡礼の旅を舞台にしたロードムービー。

仲の悪い3人の兄弟/姉妹と、たまたま同じ巡礼ツアーに集まった人とガイドの計9人が、1500キロの徒歩旅の中で反目し合いながらも徐々に打ち解け理解し合い、成長してゆく物語。

監督・脚本のコリーヌ・セロー監督作品はこれが初めて。日本ではさほど知名度の高くない方と思うが、フランス本国では実績ある有名な俳優、劇作家でもある映画監督らしい。

仲の悪い3人兄弟姉妹が、「3人揃って巡礼旅を成し遂げることを遺産相続の条件とする」という亡くなった母親の遺言を受け取るところから物語がスタートする。
この3人が絵に描いたようなマンガチックでステレオタイプの兄弟姉妹なので、物語の結末は最初からなんとなく予想が出来てしまうわけだが、まあまあ楽しめた。

ストーリー運びや演出に一昔前のドタバタ喜劇のような古くささは感じるが、「リアル・ドラクエ」のような広大な原野の一本道や、道々にある中世から変わらない街並みなどの映像が美しくて飽きない。予定調和と言えなくもないが、アクの強い人物たちそれぞれの変化と成長に気持ちが和むこともあって、最後までみていられる。

サンティアゴ巡礼というモチーフが無ければなんのことはない作品かもしれないが、まあ、これはこれで観光促進映画としても成立しているように思う。

個人的なことで恐縮ながら…
自分自身、2020年春にこの巡礼の旅に出ようとしたのだが、コロナ・パンデミックの為に、出発当日の朝に散々逡巡してキャンセルを決めたという苦い思い出がある。
(結果としては正解で、もし強行すればスペインに入国は出来たものの、巡礼路の宿は全てクローズ。出国は叶わず、ということになっていた…)
頓挫してしまった計画のリベンジをしたいと思いながら時間が取れなくなってしまったままだが、来年あたりになんとか行くことができれば、と考えている。
そんな背景もあって興味をもって観た映画である。