カルダモン

闇のバイブル 聖少女の詩のカルダモンのレビュー・感想・評価

闇のバイブル 聖少女の詩(1969年製作の映画)
3.5
70年製チェコスロバキア産シュルレアリズム、という時点で既に取っつきにくいことは予想できるのだが、時々無性にわけのわからない作品を観たくなって手を取る。心のストレッチとして。

エンターテイメント作品に慣れた目にはなかなか捉えどころがないと感じるかもしれない。ただイメージとして湧いてくるものはとても普遍的で共感できるもので、散文詩のような心理描写に紛れ囲んでいるのは処女喪失への恐怖と好奇心。要するに大人一歩手前の心理状態が描かれている。

禁欲的に暮らしている少女ヴァレリエの妙な艶かしさ。一緒に暮らす祖母エルザの美貌が幻惑のように現実から乖離している。
ある時初潮を迎えて以降、旅芸人の一座や村で行われる結婚式、化物の姿は彼女の目を通して見る世界そのもの。