ろ

ナポレオン・ダイナマイト/バス男のろのレビュー・感想・評価

5.0

小学生でいっぱいのスクールバスに乗って通学する高校生ナポレオン・ダイナマイト。
「あなた、それ本名なの?」とクラスメイトの保護者からツッコまれ、元アメフト選手の叔父が投げたステーキは顔面にクリーンヒット。
いや、そもそもなんで手づかみでステーキ投げちゃう?
てか、電話のコード伸ばしすぎてダルダルじゃない・・・?

「僕の取柄ってなんだと思う?」
「君の持ってる自転車は最高にクールだし、女の子を誘うのも上手い。それに生徒で唯一ヒゲを生やしてる」

たとえダンスパーティーで女の子から疎まれても、自分の手話がみんなより半テンポ遅れてても、ナポレオンにとっては大したことじゃない。
叔父さんがはじめた詐欺まがいの商売やいんちきタイムマシーン、レックスコンドーの格闘技教室、6時間働いてたった6ドルしかくれないニワトリ農家のおじいちゃんたち・・・。面倒に巻き込まれたり、予想と違ってうんざりすることもある。
だけど授業中にポケットからこっそり取り出して食べるポテトは美味しいし、偶然見つけたダンスグルーヴのVHSに夢中になれるときだってある。

ナポレオンも、ナポレオンのお兄ちゃんも叔父さんも友だちもみんな、やりたいことをやりたいようにやっている。
お兄ちゃんは毎日パソコンでチャット、叔父さんは学生時代の夢を追っていまだにアメフト動画を自作している。
高校の友だちペドロは生徒会長に立候補、デビーはフォトスタジオと編み紐で進学資金を稼ごうとする。
そして彼らの言動にツッコまずにはいられない私たち。
突然はじまる農業クラブ大会の利きミルク部門でなぜか全問正解しちゃうナポレオンに笑い、首から下がる金メダルに「いや優勝できたんかい」と笑う。
ずっとポロシャツ姿だったのに、突然黒のターバンを巻いてごつめのシルバーアクセをつけ始めるお兄ちゃんに「いや恋人に影響されすぎやろ」とツッコんだところへ、彼の「ピースゥ」の言い方にトドメを刺される。
ただのプラスチック製のボウルがなぜ24個もセットで売れてしまうのか。それなら”ハーブの力で迫力のバストに!”だってもっと売れるんじゃないのか。
私たちのツッコミを完全にスルーし続ける大ボケの数々。
それなのに、ナポレオンがパーティーに着ていくスーツはアニーホールみたいにかっこいいし、the white stripes の we’re going to be friendsに合わせて現れるステーキやサンドイッチ、タコスに描かれたオープニングクレジットは最高にイケててズルい。

2年ぶりの再鑑賞だったけれどほとんどの場面を覚えていて、それなのにずっと笑っちゃって、おかしくて楽しすぎる95分だった。
ろ