滝和也

借りぐらしのアリエッティの滝和也のレビュー・感想・評価

借りぐらしのアリエッティ(2010年製作の映画)
3.4
小さな世界の
小さなものがたり

ジブリならではの
美しき緑の自然の
美しさ…はあるのだが
それだけでは…

「借りぐらしのアリエッティ」

宮崎駿監督以外の監督のジブリ作品を初めて見ました。正直に言えばあんまり興味がなくて…。宮崎駿さんを超えるとは思えませんでしたからね…。

アリエッティは小人。ある人間のお宅の床下に父と母と、人間の道具や食べ物を少しづつ得て暮らす、借りぐらしをしていた。そのお宅に病弱そうな子が引っ越してきた。ある日アリエッティは彼に姿を見られてしまう…。

うーん、これは…。小さな世界の書き込みは中々ですが…小さな世界で小さな物語で纏まってしまっていると言うか…。広がりや抑揚があまり無い…。盛り上がりもあまり無くて…。淡々と引っ越ししちゃいましたと(笑)何か感動するとか、ハラハラするとかはないんですね…。

まず確かに小さくなった視点から描かれる世界は良く書き込まれてるんですが、何と言うか…周りのものの巨大感があまり無いんです。比較対象になるモノ(人含め)とアリエッティ達の構図やアングル、なんですかね…。後、音の強弱。

更に余りキャラクターが良く動いていると言う感じがないのでスピード感がない。またキャラクターの書き込みも今一歩かなと。この辺りはアングルにしても動きにしても宮崎駿演出と絵面が似通っているだけに比べてしまいます。その辺りは宮崎駿の独壇場だけに難しい。盛り上がるはずの二人のレスキューシーンもイマイチ盛り上がらない…。そこも活劇の天才宮崎駿と比べてしまう…。

コロボックルやミクロマン、ミクロイドSと言った小さな英雄たちが活躍する作品を多く見てましたから、尚物足りない感じがするんでしょうね。まぁそう言うアクション作品ではないんだけど…。全くつまらないわけではないし、静かに見守る気分で見ていたので、あれここでもう終わり?って感じでした。もう一ひねりあるのかなと思ったんですがね…。

宮崎駿さんの脚本であるがゆえ、影がきつくて、返って監督さん窮屈なんじゃないかなと思います。また比較されてしまうのも致し方なくて…。故に宮崎駿さんに対抗する人気アニメ映画はジブリからではなく、別のスタジオから現れたのかなと思います。

確かに子供たちには優しく良い作品だとは思います。ただ…小さく纏まった佳作ですね。
滝和也

滝和也