コバチ

バットマンのコバチのレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
3.3
「月夜に悪魔と踊った事はあるか?」

1989年に公開されたティム・バートン監督の実写版バットマン
Blu-rayでは、ジョーカーの声優がデーモン小暮という。「そのチョイスってビジュアル有りきだよね?」と広報担当のセンスを疑いたくなる配役。
なお、デーモン小暮の頑張りがみえてそんなに悪くない。

あらすじ:
街中をギャングやチンピラが闊歩し、汚職警官が幅を利かせる犯罪都市ゴッサム。
そんな街でチンピラ共が噂を囁く。
漆黒のボディスーツとギミックを身に纏った悪を懲らしめるコウモリ男の話を…。

感想:
バットマンの映画というよりも、これは主演ジャック・ニコルソンのジョーカーだった。バットマンの活躍が少なすぎる。
ジョーカーの初期イメージである、いつも笑い顔でジョークを喋りながら大勢の子分を連れて手品の小道具で戦うあの姿をジャック・ニコルソンが演じている。
近年のジョーカー像というと、ヒース・レジャーの孤高な狂気やホアキン・フェニックスの孤独な悲劇が取り沙汰されるが。(スーサイドのジャレットレノやゴッサムのキャメロン・モナハンもいるけど)
30年前のジャック・ニコルソンの笑いのある狂気は、人ならざる者って感じでよかった。標準まであわせたバットプレーンの一斉射撃が全く当たらず、自前の超ロングバレルの拳銃一つでプレーンを撃ち落とすシーンとか。
幻想のキャラだから出来る技だ。
町中で毒ガスを撒くシーンでも仲間にガスマスクの装着を奨める仲間思いの一面を出せば、その次のシーンでは自分の右腕だと言っていた仲間を殺す。掴み取れない二面性なんか、歩く狂気だった。
近年では不殺の誓いを持つバットマンだが、30年前の作品で原点回帰がテーマのため人を殺す。酸の窯に落ちたジャックに対して何のフォローもしない。ジャックの救出よりも警官から逃げることを優先する。悪に厳しい。
両親の仇だと思いだした瞬間からの殺意も凄い。

ダークナイト三部作ではバットマンの成長が描かれるが。この作品ではジャックがジョーカーになり堕ちるところまで落ちる事で幕が閉まる。
まさしくジャック・ニコルソンのジョーカーであった。

余談。
バットマン映画のゴシック調の建物と工場という世界観は、ここですでに完成しているの凄いよ。

余談2
黒人のハービデントとか、ヒロインの同僚とか活躍しそうに登場して、そんなに大きく活躍しないの勿体無い。勿体なくない?

余談3
家族三人が帰ろうとしたらチンピラに襲われるシーンを冒頭に持ってきて。それがブルース家ではないって、超かっこよくいかした演出なのはさすがティム・バートン。
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