コバチ

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーのコバチのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

運命に勝った者の物語。



あらすじ:宇宙の命運を握る六つの宝石インフィニットストーンを手に入れるべく自ら動き出したサノスと、それを阻止しようと動き出したマーベルヒーロー達の対決を描いた作品。


感想:ラストの「サノスは帰ってくる」という終わりから、これはアベンジャーズの物語ではなくサノスの物語だった訳だけど。
凄く上手く物語を作っていると思った点は、アベンジャーズ側にもちゃんと勝てるチャンスを作っている事、例えば序盤にスタークが躊躇無くキャプテンアメリカに電話をしていれば・・・。とか、スターロードが怒りに身を任せないでガンドレッドを奪取する事が出来ていれば・・・。とか、ヴィジョンの気持ちを受け入れてスカーレッドウィッチがヴィジョンの石を早めに壊していたら・・・。とか、ソーのソトームブレイカーがサノスの言う通りに胸ではなく頭や腕を狙っていたら・・・。と、今回はアベンジャーズ側が兎に角不運で、間違った選択肢を取ってしまった。
逆にサノスは主人公補正と言われても過言じゃないほどに幸運に恵まれ、部下を失う事はあっても自分の覇道には一切の問題が起きてなかった。(娘を失うという悲劇はあったが、それでもソウルストーンが最短で手に入れる事が出来た)
スカーレッドウィッチに石を砕かれも、事前にタイムストーンを手に入れるとこが出来た為に問題に発展すらしない僥倖。

2時間半の上映を終わって振り返ってみれば、サノスは為すべくして目的を成し。アベンジャーズ側は一度の全員集合すら出来ずになすがままに個別撃破された不甲斐ない結果。

スタッフロールは、暗い音楽にゴシックな字体で名前が並ぶだけという葬式のようなエンディング。

閑話休題。
アクションは10年プロジェクトにふさわしい最高の出来映えでしたね。
タイタンでアイアンマン等が力を合わせてサノスと戦うシーンは、一つの敵に対して各の能力を攻撃にもサポートに使っていて。スタッフが見せたかったモノを完璧に実現している感じがして凄い良かった。(アベンジャーズ1や2ではどうしても大勢の雑魚との戦いだったら)
恒例の大勢の雑魚との戦いだったキャップ達の戦いは、数で圧倒しようとする敵に対して劣勢になった瞬間にソー達乱入する展開や敵の大型兵器の登場にスカーレッドウィッチの参戦するなど。戦況に動きがあって盛り上がるシーンが多かったですね。緩急があったと言うか。(ハルクになれないからハルクバスターで挑むバナーって設定は面白かった)
その後のサノス登場からの圧倒的なチカラによる完全勝利は、向かってくるアベンジャーズに対してサノスが手に入れた石の能力を一つ一つ披露していく流れに。あぁ、こりゃ敵わないなって。


大筋やアクション以外でも面白かった所!
・『SPACE(宇宙)』という文字と共に、さっきまでの重厚な雰囲気とは打って代わって軽快なBGMが流れるシーン。
あぁ、ガーディアンオブザギャラクシーが出てくると分かってウキウキした。
そんで脳天気な会話をしながらあいつ等が出てくるの最高。
・ロキが雰囲気を読んで敵側に裏切るが、即座にサノスの命を狙うシーン。
マイティーソー3の体験でソーとの絆が深まった事を象徴していて良かった。
・ソーの家庭の事情の話で、スターロードが同情し、ソーはサノスの娘であるガモーラに怒りではなく同情を示すシーン。
ソーも成長している。
・ストームブレイカー作りは筋力と忍耐力のシーン。
反抗期まっさかりのグリートが柄のために腕を差し出すのも良かった。
・スタークとピーターの親子みたいな関係。
序盤でペッパーに子供をせがむシーンから父性バリバリのスターク。
・長年の恐怖対象だったサノスの登場を告げられて、サノス打倒に意識を集中するスターク。
ぶれていたスタークが消えていて良かった。
・大事なちょい役でレッドスカル。
・50%で生き残った奴と50%で消えていく奴の別れのシーン。静かに塵になっていくの本当に絶望的で良かった。
・野望を叶えて故郷で笑うサノスの顔。充実感に溢れている。


逆に、面白い面白くない云々を除外してどうなん?って点。
・「3分で分かるこれまでのアベンジャーズ」とか無しで始まるから、全作品観ていない奴を振り落としていくスタイル(硬派すぎ)
・ハルクの出番が序盤だけ。
・ホークアイやアントマンが出ない。
・序盤でロキが死ぬ。
・ブラックウイドゥが何故か白髪。
・いつもの盾を持つ権利を失ったからってイメチェンして三角の盾を持つキャップ。
・銃を撃ってタヌキを持ち上げるだけのウインターソルジャー。新しい腕をもっと使え。
・国王の活躍のシーンどこ?
・そもそもワカンダ戦って個々の戦いが全く描かれて無くない?
・本編が始まる前に5回くらいデッドプールの予告が流れる。もうコイツに任せば・・・良くない!ただクドかった。
・本編前にアントマン&ワスプの予告は流れる。
なお、本編には出ない模様。


総括:
総合的には最高に面白くて、10周年の記念映画で、予告アベンジャーズ壊滅!と謳い。その通りに壊滅する挑戦的な映画で個人的には良かった。1や2のような超人チームがワイワイ大学生サークルみたいなノリで世界を救う物語を期待してカップルとかが見に行ったらデートを台無しにしそうで可哀想だと思うぞ。つまりは凄い賛否が分かれる映画だった。
2部作だから、後編ではいつものアベンジャーズになるんだろうし、それまでの壮大に金と時間を掛けたお膳立て映画だと分かっている人からすれば問題はないんだろうけど。マーベル映画を人並み程度に好きな人には辛い作品だったと思うぞ。最後の「サノスは帰ってくる」もファンは笑えて納得できる言葉だけど。分からない人も多そうだった。(10年続けても、恒例のスタッフロール後のオマケ映像に気づかず帰ってしまう人もいるからなぁ)
でも、観る人に事前情報を必要とする敷居の高い映画になるのはなんかイヤだなぁって気持ちはある。

兎に角、次の真の最終章に期待だ!
コバチ

コバチ