レオピン

東京の孤独のレオピンのレビュー・感想・評価

東京の孤独(1959年製作の映画)
3.6
おーい ニュースだよおー

砂浜をキャッキャいっていづみちゃんと一緒に走るなぜか女走りの小林旭。←平和かっ!

アキラはまだあどけないガキそのものの顔をしていた。主役は大坂志郎が演じる人情味あふれる監督。そして夫を影で支える妻月丘夢路と姪の芦川いづみの姉妹。

プロ野球入団テストで偶然一緒になったアキラとジョーが新人王を、そして監督の姪いづみちゃんを賭けて争うという少年マンガのような展開。いづみちゃんはCA試験に受かってのコスプレもあり。

ジョーは全般に態度が悪かった。浅草でテキヤみたいな事をやっていて金に執着心。既にシリコンでぷっくらさせてた頬っぺたを強調したいのかガムをクチャクチャ。監督から、ガムかんでんじゃないと注意され、ガムじゃねえよミノだよとか訳の分からんことを言って殴られていた。

アキラ扮する猿丸投手はテストにしくじったと思って早々に球場を背に東京へ帰る。本業は4回戦ボクサーの彼の才能を認め、なんとか引き抜こうとするのはスポーツ誌記者の西村晃。博多へ飛んで球団と猿丸の母を双方出し抜き、大金を懐に入れていた。ジムの会長の殿山泰司もグル。この時代、こんなことが当たり前に許されていたのだな。

残念なのは試合自体の描写がほとんどないところ。思えば日本じゃ野球のドラマってあまりない。撮影が難しいのだろうか。大貫監督はベンチには座らず、三塁コーチャーズボックスから指示するスタイル。昔はみんなああだった。今時やってるのは新庄ぐらい。

監督はなかなかのポーカーフェイスで、記者たちとのやりとりはノムさんのようにのらりくらり。だが、最後にヘッドコーチだった安部徹から再び監督の誘いを受け熱意のこもった顔を見せる。夫婦で顔を見合わせ決心する姿は落合夫婦のよう。中日の監督を引き受けた際、夫の尻を叩き電話口でノートを示しながら受けるよう指示していたのが信子夫人。オーナーとの感情的対立まで似ていた。

一人ぐらい現役の選手を出してもよかったのにと不満だったが、気になっていたのが実況アナウンサーと解説者の二人組。見終わってから調べてみたらすごい二人だった。

アナは志村正順さん、解説が小西得郎さん。この二人が日本のスポーツ実況の型を作ったといっても過言ではない。志村さんの声はどこかで聞いたことがある。口の左端をくいっと上げる話し方。なんだか職人そのものだった。

小西さんは元選手で監督もやり解説者になった。戦後の職業野球の立ち上げに尽力。何よりキン肉マンのアデランスの中野さん(はせさん治)の口癖「そりゃあもう 何と申しましょうか〜」はこの人の口調を真似たものだった! 勉強になるなぁ
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