小説にならなかったホームズの冒険…という設定の外伝的作品。
ロンドンを飛び出して、スコットランドのネス湖畔の古城をめぐり、謎を追うホームズとワトソン。
サーカスの小人たち、怪獣ネッシー、あやしげな宗教組織、ドイツのスパイ、潜水艇…といった謎めいた道具立ては魅力的。古本屋の隅で埃をかぶっているような、クラッシック調の探偵&冒険ストーリーが楽しい。
ただ、ビリー・ワイルダー監督・脚本作としてはちょっと肩すかし。
彼の作品に期待する、粋なセリフ、快適なテンポ、卓越した小道具の活かし方…といった魅力は少なめ。
これはたぶん、”ホームズ”という枠が逆に窮屈になったからかもしれない。
ワイルダーはやはり、完全オリジナルのキャラクターとストーリーを作り上げた方が、型破りではっちゃけた持ち味が出るように思う。
原作にちょっと遠慮しちゃっているような態度がうかがえる、ワイルダーにしてはおとなしい作品。
われらが”スカラマンガ”ことクリストファー・リーが、シャーロックの兄でイギリスの諜報員役っていうのは嬉しかったけど…。