滝和也

眠狂四郎 円月斬りの滝和也のレビュー・感想・評価

眠狂四郎 円月斬り(1964年製作の映画)
3.6
爆炎の橋上で
仁王だつ魔剣士!

円月の刃、光るとき
命の炎も消える!
理不尽に狂四郎の
蒼き怒りの炎が燃える!

眠狂四郎シリーズ第三弾!

「眠狂四郎 円月斬り」

市川雷蔵主演の眠狂四郎第三弾です。妖しくクールに…すっかり板についてきた感じですね。眠狂四郎の基本は悪であれば女は犯る、男は殺ると言う冥府魔道に生きる男。今作はそのシークエンスが漸く登場します。

将軍家斉のご落胤、旗本の片桐は業物の名刀を辻斬りで試し斬りしていた。河原乞食に見を落とした農民達が犠牲になっていた。狂四郎は田十の父親が斬られる所に遭遇し、農民や夜鷹と知り合う。片桐の正体を知った彼らは片桐に入れ込む大商人の娘をさらう。また名刀を探す片桐は狂四郎の刀、無双正宗を狙って来ていた…。

将軍の跡目争いと虐げられた農民達、暗躍する大商人、そしてご落胤を籠絡するその娘、そして狂四郎の色である女、その元亭主が絡み、狂四郎はその理不尽に飛び込んで行く。

毎回ここ迄監督が変わりますが…毎回構図が面白く、今作は特にダイナミックであり、撮影方法に外連味が光ります。より狂四郎をクールな格好良さを際立たせる様なアクションと構図が目立ちますね。

円月殺法も刀の光の反射を入れたり、カット割されていて工夫が見えます。またアクションでは階段で襲い来る多人数を一気にすれ違いざま一気に切り進むシーン。燃え上がる橋上での殺陣、橋の上から見栄を切る眠狂四郎は正に魔剣士。冥府魔道を行くものです。

対決シーンも正統派剣士との決闘、花札を手裏剣の様に飛ばす殺し屋(ジェネラルシャドウの原型を見ました(笑))、そして多対一の活劇とバラエティに富みます。

そして狂四郎らしさでもある悪には女でも遠慮なしのお楽しみシーン(笑) 一刀の下に着物を斬る五ェ門なみの鮮やかな技を見せます(笑)

対決シーンもバラエティに富み、アクションも外連味がある、しかも妖しげでクールな狂四郎らしさもあるのに…この低い点数なのは…。まぁ致命的に話もアクションもごちゃごちゃしてるからですかね…。話がつまらないと言う方も多くて…まぁかなりストレートな話で何かの争奪戦でもなければ、誰かを守る感じでもないので捻りはないのかなと。また撮影も成功してるとは言い難いんです。見づらかったり…。

更に有名な俳優、女優がいなくて地味に見えたり。更に悪のヒロイン(東映のスーパー戦隊ではないですが)、狂四郎にヤられちゃう方がド新人な上にあまり可愛く…(笑) 狂四郎の色の方が艶がありますし…。

でも僕はこれはこれでありかなと。外連味が狂四郎には似合いますし、無頼故に無双である狂四郎が何も関係ない人々の理不尽に対して刀を振るうと言うのがらしさなのかなと思うので。何より市川雷蔵の格好良さを堪能できる剣劇ものですからね。
滝和也

滝和也