滝和也

三人の名付親の滝和也のレビュー・感想・評価

三人の名付親(1948年製作の映画)
3.7
骨太な西部劇の中に
あったヒューマニズム
を全面に押し立てた
ジョン・フォードらしい
クラシカルな名画。

赤ん坊とジョン・ウェイン
の組み合わせとは…(^^)

「三人の名付親」

西部劇を代表するダイナミズムと気持ちの良いヒューマニズムを描く名匠ジョン・フォード。そして西部劇のザ・マンであるジョン・ウェインのコンビが描いたヒューマンドラマにして西部劇。

ボブ、ピート、キッドはアリゾナで銀行を襲った。街で彼らと出会っていた保安官バックは荒野へ彼らを追う。キッドが手負いとなり、水袋を失った三人組は水場へと向かう。バックは既に見張りを付けていたため、砂漠を抜けることにした三人だが、砂嵐の中、取り残された出産直前の妊婦を助ける。赤ん坊を取り上げた後、母親から名付親になり、赤ん坊を助けて欲しいと請われ約束する三人。母親は無くなり…。

ジョン・ウェイン&ジョン・フォードのコンビなら期待するのはダイナミズム、ダイナミックなアクション演出に期待するのは当然でしょうが…僅か30分でそれは終了。後はヒューマニズムに溢れたドラマへと変わります。そもそもフォード西部劇は確かに時代性故に白人視点であるもののヒューマニズム溢れた心優しき、気持ちの良さも持ち合わせています。今作はその部分に焦点が合わされていると言う事だと思います。

赤ん坊と言う無垢で弱きものを前にしては強盗と言う悪事に手を染めていた者達もタジタジ。どうしたら良いか、慌てふためく訳でここからコメディ的になるかと思わせて…うわぁと驚く悲痛な展開へ。

中々辛く悲しい感じから聖書をベースとしたストーリーを絡めて来る辺りが、この作品が何度も映画化されている理由であり、クラシックの定番(素晴らしき哉、人生!の様に)たり得た理由だと思います。

前半はハード西部劇で中盤はコメディ、後半はファンタジーと言うまさかの作りであり、そこにキリスト教の教義が加わってくると言う…中々に盛りだくさんな内容ですが無理なく纏まっているのは流石ジョン・フォード監督ですね。

赤ん坊と対極にいる西部の男であるジョン・ウェインを組み合わせた事がギャップを生み、面白さに繋がっています。あの笑顔、中々見れない一面を見た気がします。

素晴らしき哉、人生!がお好きな方にはオススメなのかもしれません。ジャンルは西部劇ファンタジーとでも言いましょうか…難しい(笑)ただ…ラストは気持ちの良い話には違いありません。オススメかな…。
滝和也

滝和也