KINOKO

空気人形のKINOKOのレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
3.8
ジャケットとタイトルが気になり
手にした1本。
まさかこんなストーリーだとは…


命と心を持ってしまったラブドールを巡る
汚らしい人間的な愛欲と
どこまでも無垢な愛情の
おはなし。

こんなおはなしを思いつく原作者もすごいけど
映画化する監督もすごいなぁ。



心を持って初めてみる世界は
きらめきに満ちていて
全てが美しく、感動的。

彼女はとてもピュアで優しい。
なのに性欲処理の道具。
その事を自分の運命の様に受け入れている彼女。
このギャップがたまらなく悲しくて切なかった。


まさかの是枝監督作品。
家族がテーマの作品が多いけど
これも歪んだ都会の中の
歪んだ形の家族なのかもしれない。


ペドゥナの演技が透明感あってとても巧い。
可愛らしくて声もぴったり。
めちゃくちゃ役柄に嵌ってた。
ここまで演じきれる女優さん、日本にはいないと思う。

実際、監督は色々な日本の女優さんに声をかけたけど断られたようで。
でもそれがかえってよかったかと。


エグいシーンもあるが
彼女の華奢な身体があまりにも美しく全くいやらしくみえない。
本当にお人形さんのよう。


空気人形に愛を捧げる男
メイドオタク
過食症の女
広い家にひとりぼっちのおじいさん
恋人を事故で失って心がなくなった人

作中に出てくる人たちは
皆心のどこかにポッカリ穴が空いている。


空気人形とは、
人形だけでなく空っぽの人間もさしているのだな。

人間と、心を持った人形の違いは何?
燃えるか、燃えないかだけ。


人形は不燃ごみ。
人間は燃えるごみ



ラストは衝撃的でした。


てか、作品が私には衝撃的すぎました。


切ない。
KINOKO

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