クライマックスシーンが全て。
折り合いをつけられない心と体。
切なくて胸が張り裂けそうになりました。
物語は、全編においてずっとララを見つめます。
あらゆるシーンの中で、ストーリーを引っ張っていくものは、ララの表情にあります。
そんなララを見つめながら
性の不一致を抱えながら生きることの苦しさや切実さが、今まで見たどんな作品よりもリアルに伝わってきます。
心配をかけまいと、父に微笑む姿。
こんなに痛々しい微笑みをみたのは、私は初めてです。
まるで微笑む仮面をかぶっているかのようでした。
ララ役は初演技の男性トップダンサーです。
容貌や仕草が完全に女性に見えるポルスターの、ピュアな眼差しや存在感はまさに驚異です。
トランジェスターじゃないときいた時は本当に驚きました。全く演技には見えないんです。
映画というよりも、性転換手術を切望しながらバレエに励む、性同一性障害者の日常を追うドキュメンタリーのようでした。
自分はどういう人間なのか、人生の選択をしなければならない大人への入り口、人生は選択の連続
ありのままの自分を肯定しアイデンティティを確立してゆくことの大切さが描かれている素敵な作品でした。