KINOKO

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>のKINOKOのレビュー・感想・評価

4.5
アメリカの砂漠の真ん中の
砂埃吹きさぶす寂れたカフェ。

オープニングは突然現れる
なにを考えてるのか
正体も分からない太った中年女性。

1日中怒鳴り続けるカフェの
女主人。

やる気の全くないカフェに
バラバラの家族。

どこか不安定で不気味で
不協和音が支配するような
オープニングに引き込まれ
後は一気にラストまで。



やはり印象的なのはテーマ曲
「Calling You」がかかるシーン。
まさに人生の疲れ、孤独の響き。

画面はセピア色のスライド写真を繋げたように細切れに送られる。
忘れられないシーン。


「Calling You」はスタンダードとして聞くのではなく
「バグダッド・カフェ」に流れているからこそ
「Calling You」なのだと思う。


作品が描く空の美しいこと、不思議なこと。
すべての色は曖昧だけど
きっと人は、曖昧なものが好きなのだ。

正義か不正義か。
善か悪か。
人とはどうあるべきか。
そんなことばかり考えていると
大切な人生が台無しになってしまうのじゃないだろうかと・・・
ふと考えた。



もう、何度観たかな・・・
映画に浸りたいそんな日は
必ずこの作品を観る。


アメリカが舞台だけど、アメリカ人監督には絶対作れない作品だと思う。
KINOKO

KINOKO