KINOKO

君と歩く世界のKINOKOのレビュー・感想・評価

君と歩く世界(2012年製作の映画)
3.8
原題は「Rust and Bone(錆と骨)」

邦題とこのジャケットだと綺麗事と欺瞞に満ちてそうな感動モノの印象を受けるが
蓋を開けるとビックリ。
まさしく「錆と骨」という感じだった。


主人公の男は言動が非常に短絡的。子供がいるっていうのに、無責任かつ横暴。職が安定せず、加えて男女関係となると、言い寄ってくる女を食い散らかす。

一方彼女はというと、シャチの調教師で仕事に誇りを持っており、自分の見た目にも自信がある。女性としての価値が高いと自覚している女。

それが、思わぬ事故により、 ”モテる女な私” である前に両足を失い”身体障害者”になってしまったことで、彼女の女のとしてのプライドはおろか人間として生きる気力さえ消えかけてしまう。


そんな2人が出逢っても上手くいくわけないと思いきや…



人間っていろんな矛盾や弱さを持っていて、さらに生きているといろんな出来事やアクシデントに揉まれているんだなぁと実感した。


ここで描かれているのは
ただただもがき苦しみ
深く落ち込み、絶望のふちに追いやられ、ひたすら涙する人達ではなく
歩みは遅くとも、紆余曲折しつつも、そこから立ち上がり、少しでも前に進んでいく剥き出しの人間の姿だった。


落ちたときって、言葉や理屈なんてまるで心に響かない。
欲しいものは
ただ側にいてくれる人
いつもと変わりない接し方
そして温もりなんだなぁと思う。


当たり前のよに隣にいる人がいなくなったら
自分がどん底に落ちたら
初めて自分の本当の気持ちがみえるのかもしれない。

当たり前なんかないんだってことが…。
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