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汚れなき祈りの一のレビュー・感想・評価

汚れなき祈り(2012年製作の映画)
3.9
『4ヶ月、3週と2日』『エリザのために』のクリスティアン・ムンジウ監督作品

第65回カンヌ国際映画祭で女優賞と脚本賞を受賞

2005年にルーマニアの修道院で実際に起こった事件を基に、同じ孤児院で育った2人の女性が信仰により引き裂かれ、大いなる悲劇に巻き込まれていく姿をありのままに描き出す

まだ3作と寡作ですが、粒揃いの作品の中でも個人的には一番良かった

やはりこの監督の独特かつ強烈な表現方法は目を見張るものがあるので、有無を言わさず脳裏に焼き付けられてしまう
それも決して安易にセンセーショナルな扱いをしたりもせず、『4ヶ月、3週と2日』と全く同じような手法の長回しを徹底した圧倒的なリアリズムや、時折ダルデンヌ兄弟を彷彿とさせるような演出がたまらない(案の定共同プロデューサーに名を連ねていた)
それでいて辛気臭い感じもない上に、後半にかけての展開の勢いなど2時間半もある尺を全く感じなかった

深い絆で結ばれていた幼馴染みの二人は、同性愛的な匂いをむんむんとさせながら、信仰と愛の狭間に揺れ動き葛藤する

言ってしまえば『エクソシスト』を現実的にしたような物語で、良くも悪くも宗教の脆さを体現しているし、あらゆる閉鎖的な社会では起こりうる悲劇なのかもしれない

カンヌで女優賞に輝いた映画初出演となる新人女優の二人は、非常に難しい役を繊細かつ豊かな表情でこれ以上ないほど完璧に魅せてくれる
ムンジウ監督による素晴らしい演出と、この圧倒的に自然な演技が相まって生まれる桁違いのリアリティにただただ圧倒され続ける傑作

中身とは全然関係ないけど、レンタルした直後に見放題に追加されるのほんと辛い😭笑

〈 Rotten Tomatoes 🍅91% 🍿81% 〉
〈 IMDb 7.5 / Metascore 79 / Letterboxd 3.8 〉

2021 自宅鑑賞 No.481 GEO
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