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クレージー作戦 先手必勝のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

クレージー作戦 先手必勝(1963年製作の映画)
2.5
『ニッポン無責任時代』(1962)の大ヒットにあやかり、同年に早くも第二弾『ニッポン無責任野郎』を公開して気を良くしたのか、今度はクレイジーキャッツ映画としての企画が持ち上がり、上記2本の映画で同時上映であった駅前シリーズの久松静児監督作。

1962年7月29日『ニッポン無責任時代』
1962年12月23日『ニッポン無責任野郎』
1963年3月24日『クレージー作戦 先手必勝』

いくら何でも早すぎやしないか?ほとんど間隔ないやん。どんだけの殺人スケジュールを熟していたのか…想像するだけでも恐ろしい。

小林秀雄を師事していた池田一朗脚本。この池田一朗という脚本家は、晩年に隆慶一郎として作家に転向する。隆慶一郎といえば花の慶次の原作者である。この隆慶一郎という筆名は行きつけの居酒屋の女将が考えたんだとか…。


無責任シリーズの滅茶苦茶な展開よりは、ドシッと腰を低く構えた感はある。しかし…特に笑うところもなく平凡に終わってしまっている。

作詞:青島幸男
作曲:萩原哲晶

特に、このコンビによる最強の楽曲に勝てない。この二人の作る楽曲が一番オモシロイという皮肉なことに…


株式会社よろずまとめや開店

○会社

開店して1週間…

上田社長(植木等)
「きみ、ひとつきやふたつき仕事がなくてそんな弱音吐くなよ!」

犬養弘(犬塚弘)
「しかし社長、人間メシ食わなかったら生きてかれませんよ」

上田社長
「まーたそういうありふれたこと言う。きみね、メシなんてのは生まれてからずーっと食ってるんだよ。もう飽きてもいいーよ」

確かに…言われてみたら…ずーっと食ってるわ。当たり前のことを言ってるだけなんだけど、植木等がいい加減に言うとなぜかオモシロイ。



駅前商店街ボイコット運動をしている主婦達。

そこへ、よろずまとめやが現れる。

花木ハジメ(ハナ肇)
「ほー、
そうとうなもんだなあ」

安井真(安田伸)
「専務!これはおもしろいですよ女相手だから」

谷村啓太郎(谷啓)
「気をつけな。女ってやつは大勢固まると始末悪いからね」

これは東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が言ってることと何ら変わりない。
「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」

この時代から日本の価値観は一切変わっていないということが証明されてしまった…

57年も前の映画だから、この当時はまぁ百歩譲っていいとしても、いまだに言ってるバカがいるとは…かぁ~っ情けないねぇまったく!イヤんなっちゃうよ!


戦前は吉本興業に所属し、横山エンタツ・花菱アチャコ・柳家三亀松・川田義雄と共に吉本の五大スターと称された柳家金語楼の顔が最高!

胡散臭さとイヤらしさと…こういう顔の人いまなかなかいないねぇ。清廉潔白でなきゃすぐ干されてしまう世界になってしまったからねぇ。みんなつまらない同じような顔して…幅がないねぇ。

柳家金語楼は自分の顔を商標登録していたらしい…その価値は確かにある。
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