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凶悪のharuのレビュー・感想・評価

凶悪(2013年製作の映画)
4.6
最近の連日の報道を見て、真っ先に頭に浮かんだのがこの映画。
以前にも視聴したことがあったけれども、改めて再視聴。

実話を基にしたフィクションであると冒頭に出てくるけれども、実際に起きた『上申書殺人事件』と比較しても、かなり忠実に再現していると思われる。

死刑囚が上告中に起こした告発。
自分が不利になってまでも明るみにしたかった真実とは、影の首謀者である『先生』と呼ばれる男の存在。

告発を受けたジャーナリストは、決してすぐに記事を世に出すことはせず、長時間をかけて裏付けをとるために奔走する。

その姿が、この映画を単なるサスペンス映画や、ノンフィクション映画とは比べ物にならないくらい凄い映画にしていると思う。

正義感の影で苦しむ家族の姿、目に見えない真実を知る辛さ。数々の苦悩とぶつかりながらも真実を追求する姿が、妙にリアルなのだと思う。

奥さんが言った『楽しかったんでしょ?』は個人的にずっと頭から離れない重い言葉だった。


もちろん、それらの前提として、ピエール瀧とリリー・フランキーの圧倒的な怪演により、映画の中に引きずり込まれてしまったから感じられたことだ。

無くしてはいけない映画。
観られなくなってはいけない映画だと思う。
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