ピエール瀧さんの報道が記憶に新しい中、Huluの配信期限も迫り、これを逃したら二度と見れないかもしれねえ！急げ！と本作をチョイス。どうせグロ満載の悪趣味胸糞映画やろ…と思ったら、いやグロ満載の悪趣味胸糞映画ではありましたが、人間誰しも持つ凶悪性に切り込んでいくなかなか深いストーリーでした。
内容は、死刑判決を受けた凶悪犯が、俺以上の悪がシャバにいるからそいつを捕まえてくれ、と人知れず行われた3件の殺人事件を雑誌記者に告発するというもの。見どころとしては二つあり、まず一つは彼が告発する殺人事件の陰惨さです。
アウトレイジか？と見まごうばかりに全員悪人、ばたばたと人が死んでいく。事件そのものも反吐がでるほど陰惨ですが、その殺すまでの会話や遺体処理のやりとりが本当に呑気で、登場人物の異常さを強調してます。これあぶないよぉ〜↑↑と手足をジタバタさせながらスピリタスを持ってくるリリーフランキーには戦慄させられました。実際の事件を元にしているということで、視聴後すぐに調べてみましたが、実際はむしろ映画の方がマイルドに描かれていた部分もあるようで、同じ人間相手にどうしてこんなことができるのか…と思わずにいられません。しかし保険金殺人のあの家族だったり、池脇千鶴だったり、加害者の火種は誰しも持っているのかもしれないという人間の業みたいなものもしっかり描かれています。
そしてその事件を追う記者の闇、心境の変化も本作のもう一つの肝であります。正義は我が側にあるという傲りが、己の暴力性を正当化させる。この世で喜びなんか感じるな！！こっちの凶悪性にはハッとさせられました。SNSの台頭で過激な意見を持つ人も多い中、こういう自戒は常に抱いていないといけませんね。
というわけで、おもしろかったなーっていう映画ではありませんが、見てよかったなーとは十分思わせてくれる映画なのでした。
