しめじろー

ようこそ映画音響の世界へのしめじろーのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
4.1
映画は、半分は映像、もう半分は音響でできている。
実際の作品映像を使いながら、映画音響の歴史、そして音響を構成する要素の解説と、あらゆる角度で映画音響を紐解いていくまとめ系ドキュメンタリーです。

第一部はエジソンの蓄音機から始まり、サイレント、トーキー、モノラルからステレオ、そして5.1chサラウンドへと進化していく、映画音響の沿革が紹介されます。音響だけでなく映画業界そのものの歴史にもなっており、60年代ごろまでのハリウッドの効果音使い回し事情だったり、戦闘機のエンジン音に動物の唸り声が使われていたり、ビートルズはじめ音楽シーンから影響を受けていたり、初めて知ることばかりでとても興味深かったです。スピーカーの進化もわかりやすく実演してくれて面白い。やっぱり映画館の音響ってすごいなと実感…。

第二部では、映画音響を「声」「SE」「音楽」そしてそれらのバランス「ミキシング」に分類し、それぞれのプロフェッショナルがその役割を解説します。
普段何気なく鑑賞している映画のワンシーンにも、ありとあらゆる音が何レイヤーにも重なっていて、1つ1つの音は各界のプロがそれぞれ魂込めて作っている…って本当に途方もない話です。作中ではこの音の構成要素を「才能の輪」と呼んでいて、いやその通りだなと、それぞれの世界のプロフェッショナルがベストな仕事をして、それが集結して我々の素晴らしい映画体験に繋がっているんだなということを実感しましたね。みなさまいつも大変お世話になっております。

映画の新たな見方を教えてくれる、とても興味深いドキュメンタリーでした。
この音響を再現することになる映画館も「才能の輪」の一部だよな〜と思っていたら、エンドロールの最後にシネマシティ独自のメッセージが表示されて少し驚き。コロナ禍で大変な中、音響に力を入れている映画館としては思うところがあったのでしょうね。なるべく見に行くので頑張ってほしいです。コンセも買うぜ。