しめじろー

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのしめじろーのレビュー・感想・評価

4.3
ありがとう…ありがとう…👏😭
アニメが好きでよかったな。

テレビシリーズから少しだけ時間が進んだ後のお話。電話やガス灯など、新しい技術が少しずつ世に出てきて、郵便社や自動手記人形のあり方も変わっていく。そんな新時代の予感の中、ヴァイオレットのもとに一人の少年から新たな依頼が舞い込む…。
テレビシリーズの続編であり、まごうことなき完結編。ヴァイオレット自身の物語に区切りが打たれるのはもちろん、描かれる時代の移り変わりは手紙が主流であった時代から現代果ては未来まで一つの帯となって続いていることを思わせ、その中で変わることのない人々の営みと想い、心が届くことの尊さを感じさせるのでした。

相変わらずの映像美。そして相変わらず「もう勘弁してくれ」ってくらい泣かせてくれます。子供はずるいよ…。しかしただのお涙頂戴ではなくて、同時進行する複数のエピソードがうまく関連しあってて、それぞれを補完しているんですよね。病床の少年と、その少年に「会いたくない」と言われた友達。電話や電報に取って代わられる手紙と自動手記人形。特にこの電話の使い方は本当に上手くて唸りました。時代が変わっても変わらない、人の心が人に届く素晴らしさ。人の言葉はいつだってうらはら、ときには自分にだって嘘をつきます。手紙は、最初の読者が自分だから、より正直になれるのかもしれませんね。

手紙と電話と、そしてブドウの運搬機が思いを届けたように、時代が進んでも心の届け方は同じ。今や日本は識字率ほぼ100%、指先ひとつで一瞬にして手紙が送れる時代です。伝えられるうちに、伝えられる人に、思いを伝えないといけませんね。まず親へのLINE返さなきゃな…。