しめじろー

悪人伝のしめじろーのレビュー・感想・評価

悪人伝(2018年製作の映画)
4.5
おもしれえええこんな面白い映画なかなかないですね!!
"実話を基にした韓国ノワール"ということで、重苦しい話かなと予想していたんですが、バイオレンスでありながらエンタメの派手さもある、とっても面白い作品でした。

舞台は2005年の韓国。通り魔的に通行人を殺す連続無差別殺人事件が発生し、警察の捜査は難航していた。しかし、通り魔が次に襲ったのは、マ・ドンソク扮するヤクザの組長だったからさあ大変…。「犯人を探せ!俺がこの手でぶっ殺す!」警察vsヤクザvs殺人犯、血で血を洗う闇の大捜査線が始まる!!

実話を基にしたフィクションということですが、実話なのは殺人事件の手口やヤクザの抗争といったエッセンスが主で、この映画はかなりエンタメ寄りに再構築されているようです。
警察とヤクザ、両者とも「殺人犯を捕まえる」という利害は一致しているものの、警察は犯人の逮捕を、ヤクザは犯人の殺害を最終目標としており、お互い相手より先に犯人を捕まえなくてはならないところがミソ。協力したり競争したり、めまぐるしく変わる状況とパワーバランスがとてもおもしろい!!手を組みつつも相手を全く信用しない、どうにか出し抜こうとする。暴力刑事とヤクザの組長マ・ドンソクが変に友情を築いたりしないのが最高ですよね。 2005年という舞台もやけに説得力があります。
絵的にもすごく良くて、三つ巴を象徴するような車3台でのカーチェイスは、狭い路地をぐりんぐりん爆走するおもしろさもありテンション爆上げ!!どっちが勝つのか最後までハラハラドキドキ楽しめました。とてもおもしろかったです。オチも良かった!!

社会の暗部をえぐる社会派本格ノワール…ではありませんが、ヤクザエンタメ好きにはたまらない映画ではないでしょうか。おすすめです!