タスマニア

ビフォア・ミッドナイトのタスマニアのレビュー・感想・評価

ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)
3.5
2020年199本目。

「サンライズ」・「サンセット」と見せ方は比較的同じなのに、テーマやターゲットが全然違うなぁ笑

「サンライズ」を見たときの初々しい二人の永遠の関係性を願いたくなるような、そんな心持ちのまま、この映画に臨むとなんかガッカリするのかもしれない。

でも、ジェシーとセリーヌと同じように時を重ねた人たちが見たのであれば全然違って見えるのかも。
人はやっぱり変わっていく生き物だし、カップルも夫婦も親子も全て例外ではないんだな。
お互いが大事なはずなのに、愛しているはずなのに、その数倍憎く見えてしまうこの感じに既視感があった。
多分「マリッジストーリー」だ。あの映画ほど結婚生活の全てに関して、芯を食ったような映画ではないのかもしれない。
だけど、「サンライズ」から重ねてきた時間の濃密さが桁違い。
だから、「結婚生活」というより「人生」だなって思った。
大袈裟かもしれないけど笑
そういった意味で、やっぱりシリーズとして全部見て評価したい映画。
もしくは「サンライズ」だけで止める笑

多分相対的に他の二作に比べて評価は低いのだと思うけど、会話劇のユーモアと信頼感は圧倒的だったと個人的には思う。
それはジェシーとセリーヌもそうだけど、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが戦友として重ねてきた時間と築き上げた信頼関係の賜物なんじゃないかな。
最初の車のシーンの会話も、ホテルに向かうまでの歩きながらの会話も、「なんて知的でユーモラスな会話なんだ」って思ったし。
喧嘩のシーンでさえも、知的だった。

二人の会話はいつも小難しい話が多いけど、やっぱり、それが彼らにとって一番心地よいコミュニケーションプロトコルなんだと思う。
芯を食わない話題で牽制しあっていた若き日々とは違い、ある程度本音を言い合えるようになっていることも大きいのかも。
(それでも、喧嘩のシーンまでやっぱり一番言いたいことは言えてなかったりするんだけど笑)

あとは会食のシーンのおばあちゃんの金言ね。
これまでのシリーズにない構成。
そもそも二人以外の登場人物がガッツリ出てくることがめちゃくちゃ珍しいしね。
ただ、それでも登場人物の会話劇が尽くスマートでユーモラス笑

まず「愛する」ということを決めてから、そこから「どのように愛するか」を考えるといったジェシーの考え方が素敵だと思った。
この考え方が、98歳になって一緒に葬儀してもらうような夫婦になるための一つの回答なんじゃないかなって若輩者ながら思ったりもした笑

ウィーン、パリに続いてギリシャか。
ギリシャでバカンスにしている設定は、多分、撮影の舞台をヨーロッパの美しい街にするための後付けだろ笑
ギリシャへの旅もいいなぁ。
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