む

真夏の方程式のむのレビュー・感想・評価

真夏の方程式(2013年製作の映画)
4.1
ガリレオ映画シリーズで、実は1番好きな作品です。
名作と言われる「容疑者Xの献身」とはまた違ったBAD ENDではありますが、湯川先生の静かな優しさと人間味がとても滲み出ていました。


今作は「無知」がテーマでしょうか。
企業側の波瑠ヶ浦に対する無知、お互いの海洋学や環境への無知、子供の出生に関する無知、煙突の蓋を閉めるとどうなるかという無知…

知らない事は悪いことではなく、知ろうとしない事が悪であると、湯川先生は言いたいんだと思う。

しかし知識を沢山得る事でわかる真実は、夏休みの実験で見た海中の様にいつも美しいわけではなく、酷な事の方が多いと思う。
実際に世界情勢を知れば知るほど、自分ではどうにもできず、気持ちは病んでくるわけだし、、


この作品は賛否両論頷けるし、一見湯川先生は非情に映るかもしれない。
けど、既に恭平君が共犯である事実は変わらないわけで、恭平君が真実と向き合うとき、どう自分の中で答えを導き出すのかが重要なんだと思う。

その為の方程式を湯川先生は渡してくれたんだと思うと、とても高度な心理的やり取りがあり、2人の絆とあたたかい優しさが詰まっている作品だと思えてくる。
む