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ホーリー・モーターズのNUZOOのレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
4.4
難解かと勝手に思ってたけど激オモロ。謎の世界ながら、なんとなく見えてくる法則があるのがいい。

ここで描かれているのは、役者が演じるものがフィクションではなくなった世界、または人々の人生がフィクションになった世界。役者は毎日分刻みであらゆる人の人生の一部を演じ、ときおり死ぬ。
しかし演じている時の役者は死を超えた存在になっている。死体が起き上がってリムジンに乗り、次の仕事へと向かう。(一方で、本当に飛び降りて死んでしまったように見える役者も出てくる…なぜ…)

自分がなぜ自分か、とか、自分が見ている世界はフィクションなのではないか、といった、世界のあり方に関わる疑問に触れてるような映画に見える一方で、映画とはなにか、とか、演じるとはなにか、といったテーマで撮られた映画にも見える。
だけど、そんな壮大なテーマの香りを匂わせつつも、一つ一つのシーンがただただ面白いので夢中で観られた。

ドゥニ・ラヴァンの体の張りっぷりというか、役者を超えてる何かやばい存在って感じが画面に張りを与えていたと思う。画面からあふれんばかりの肉体性。あとから確認した修正かかってない版だと、勃起したちんこがしっかり映っていた…

それから冒頭の監督自ら出るシーンでは、それこそ劇場の裏からご本人登場って感じで現れるわけだけど、それもあとから振り返ると全体のメタな空気をより強固なものにしているシーンだったんだなとわかる。すべてがフィクションでもあって、すべてが現実でもあるのじゃ、みたいな…。

それから最後の車庫のシーン、爆笑しそうになるけどあそこも好きだった。

何度でも観られそうだし観るたびに面白いだろうな、っていう予感のする映画だった。DVDでも買おうかな。
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