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すずめの戸締まりのNUZOOのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

思いっきりジブリ風でかつめっちゃ新海誠。
アニメっぽい文脈が強調されるキャラクターと演技に加えてアニメ的なクリシェの多用が目立つが、そもそもそれらが好きじゃないので、ずっと気持ちは「この人らがどうなろうとどうでもいいや」的に低空飛行のままだった。ただ、正面から東日本大震災を扱うあたり、災害3部作?の集大成だとはわかる。

今作では(これまで以上に)災害を扱う際の人間中心的すぎる世界観が気になった。
災害をコントロールする力と恋愛とを併置して、恋愛からくる欲望によってその力を使ったりねじ曲げたりすることを繰り返しているここ3作だけど、そういうふうにコントロールできるものとして災害を扱う強引さに新海誠がどのくらい自覚的なのかはいまだによくわからず。どれも一見ポジティブな物語ながら、そのポジティブさの踏み台になるものを描くことを暗に避けていく見せ方はこわい。
さらに今回は災害と相対するはずの恋愛の見所がほぼゼロなのが残念。途中まで恋愛がない話なのかと思って見ていたら唐突に大好きだということになったので驚いた。一方的に少し気になるかも程度の関係だと思っていたのに…。『君の名は。』は恋愛パートの強さが一番の強みだなと改めて思った。

最初、ミミズは目に見えないが降りかかるものとして被爆の比喩なのかと思ったけどちょっと違っていた。ミミズが放射能の比喩なら人間の罪と災害を結びつけるのもまだわかるけど、地震を人間の行動の結果として見せるのはさすがに傲慢。ダイジンが草太の代わりに要石に戻されるのもいい話としてオチてるのかしら…というこれまた人間中心的な話に見える。

キラキラしてよく動くアニメーションは見ていて気持ちいいし編集もいいけど、キャラクターデザインや演技や選曲は良くは思えない。終盤のアクションも果たして必要だったかしら…
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