香港のデモの起こりから現在までを一通り流れで見られるのがありがたい。
香港の歴史からデモの開始、議会占拠、マフィアと警察の癒着、中文大の占拠、理工大の失敗、そして国安法の成立など、当事者のインタビューを交えつつさまざまな映像とともに見せている。
映像のソースがふんだんにあるからこそ、体制側にストーリーを占有されずに起きた出来事を語ることができる。
誰による映像なのかはわからなかったが、ドローンで撮ったデモ隊と警察の移動の様子など、見たことのない視点での社会運動の映像で興味深かった。
香港の若者たちの人生や命をかけるほどの危機感や正義感は、やはり当事者にしかわからないリアリティがあり、自分の身に置き換えて考えることの限界も感じる。
運動に目指すゴールはあれど、それにどうたどり着けばいいのかはなかなか見えて来ず、そのなかで運動を継続することがとてつもないことに思えた。
長い映画だが、流れをちゃんと押さえて見ることができるようにしてくれていたことで、彼らの直面する困難の一端を共有することができる作品だった。
派手な演出のないところが良かったけど、最後の演奏だけはトーンがガラッと変わって無理矢理オチをつけようとしているようで、あまり必要ない気もした。
デモの中で実際に撮られた映像をメインに据えたドキュメンタリーなので、手持ちのブレまくるカメラは、映像で酔いやすい自分には少しきつかった。
後ろの方で見るのがおすすめ。