ベイビー

ミークス・カットオフのベイビーのレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
4.5
初めてのケリー・ライカート監督作品。
とても素晴らしい僕好みの作品でした。

驚くほど派手さがなく、抑揚のない物語。1845年、開拓移民団から離れて行動することとなった3組の家族が、ただ西へと向かうお話。会話も少なく静かに進む物語なのに、何故だか103分間画面から目を離すことができませんでした。

本当は2週間で着くはずの道のりが、実質5週間以上経っても目的地に着くあてもない現状。3組の家族たちは、道先案内人として雇ったミークを信頼できなくなり、妙な不信感が湧き起こります。

wiki調べによると、この作品の出来事は歴史的事件に基づいているそうで、1845年に辺境案内人のスティーブン・ミークが不運なワゴン列車を率いてオレゴン砂漠を渡った史実があるそうです。その時のルートが後に「ミークス・カットオフ」と言われるようになったとのこと。

この作品が面白いのは、やはりその史実の切り取り方ですよね。登場人物たちの心の移り変わり、そして過酷な旅で待ち受ける結末… あまり書きすぎるとネタバレになってしまうので、具体的な感想はコメント欄に入れておきます。

とにかく物語の切り取り方、画角の切り取り方が本当にお上手。女流監督らしく女性の芯の強さを気持ちよく描き、そして映像がしっかり物語と寄り添い、作品の品格が高く感じられました。

お気に入りの監督さんがまた一人増えました。ずっと前から観たかった作品でしたので、観ることができて良かったです。
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