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バーバレラのkoyaのレビュー・感想・評価

バーバレラ(1967年製作の映画)
4.0
いや。はや。いい、とか、悪い、とか、面白い、面白くないというレベルを超えた映画というのがあって、もう、この映画は、1967年にこれ、やってたんですか?という。

この映画、テンポいいのか、悪いのか、よくわからないのですが、妙に、のめりこんでしまうものがあります。
それは宇宙もの、アメリカンコミックものなのに、もう、粘着質、これ極めり!といった粘着度。なんか、ねばねばしてる・・・。
それでも、けろり!としていて、なんとも健康的なような、いたずらのような、いろいろなおかずがつまった幕の内弁当のようです。

 このゴテゴテ具合って、対抗できるのは、フェリーニ監督の『サテリコン』くらいしか、私の映画経験では思いつきません。
 映画を通して、もう、ロジェ・バデム監督の当時の妻、ジェーン・フォンダの色気、というより「艶気」っていうのか、むんむん、していて、どのシーンの、どのアングルのジェーン・フォンダ(一応、宇宙一優秀な宇宙飛行士・バーバレラ)を切り取っても、エロティック湿気高いです。

 ここまで奥さんを撮りまくる夫っていうのを想像すると、それはまた別の映画が出来そうでこわい。
オープニングタイトルで、無重力の中で、宇宙服を脱ぐ、その手袋をとる、白い美しい手が出てくるだけ、でもう、すごい色気を感じてしまうわけです。このオープニングタイトルは、すごい、のひとこと。
正しいエロって言葉(エロに正しいもなにもないかもしれないけれど)が、つい、浮かんだりします。
エロチックなのに、全く、うしろめたさなしっ!

 もう、ストーリーなんてどうでもいいやってくらい、無邪気に艶気。この無邪気ってところがすごいですね。
エロティックというと、無邪気の正反対、邪気がむんむんだと思ったりするのですが、それが、けろりと無邪気ですから、ははああ~~~って平伏するしかないですよね。

 意味なく、いろいろな衣装に早変わりするバーバレラですが、その衣装はすべて「破かれるためにある」

なにかっていうと、バーバレラは襲われて、衣装はずたずたになり、また、けろりと新しいお衣装で、なんだかんだいって、白い肌が見え隠れする破かれ方を繰り返しますが、決して、同じ手は使わない。もう、情熱、感じます。

この映画、色々と「なるほど」と思うことがあったのですが、『となりのトトロ』の猫バス内装の宇宙船、一瞬にして変わるコスチューム、ロケなんか一切なし、の作り上げた人工美。

 その後、世界に出てくるホラー映画の断片もちらりちらりと・・・あ~チャイルド・プレイってここからヒント、取ったでしょ!というのは、私の勝手な想像です。寺山修司もこの映画、観てたのかなぁ、と思った瞬間、あ~突然始まる空中戦の音楽は、テレビの「必殺!仕事人」(♪ちゃら~~~ちゃら~~♪)だよね!という万感の思いが交錯いたします。

 『バーバレラ』のDVDを観たいと思ったのは、イギリスのロック・バンド、デュラン・デュランに「エレクトリック・バーバレラ」という曲があり、もうもう、「バーバレラ大好き!!!Pretty pretty Barbarella!!!!」と歌っていたからです。

まぁ、映画を観てみると、デュラン・デュランというのは、バーバレラが探しに行くように言われる科学者の名前です。
もう、このデュラン・デュラン博士の発明品ってのが、すごいの。
わたしは、ここ、一番、目が点でしたね。

 大勢で、わあ~~って笑って観るタイプの映画かなぁ、と思ったのですが、どうも、これは、こっそりひとりで、観て「おお!」
そして、そのあと、「ねぇねぇ、観た???アレ・・・・あのさ、あそこのいきなり歌っちゃうところさ・・・」などと、ひそひそ話をしたい。

話のタネにはつきない、アイディア満載、ですが、デートとかで、まぁ、DVDでも観ます?なんてのには選ばない方が良いかと。
バーバレラにくいつくように観ている自分が、誰かに見られるのは、ヤダ、という大変、複雑心理をおこす映画です。

 でも、なんだか、観終わったあと、、、ハッピ~♪
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