ばーとん

静かなる叫びのばーとんのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
2.0
これは早過ぎたジョーカー。やったことはともかく犯人の主張にも理はある。エリオット・ロジャーを筆頭にインセル思想に端を発するテロリズムは主張そのものはだいたい正しいんだよ。

自らの不幸を全部女のせいにするこいつの考えが被害妄想じみた女性嫌悪だと言うなら、女の不幸をすべて男のせいするフェミニズム思想は男性嫌悪の被害妄想に過ぎないし、この犯人のロジックは性別をまんま反転させただけでフェミニストと相似だ。女の主張は正当な権利で、男の主張はただの逆恨み、という性規範に我々はここでも捉われる。「僕はイカれた殺人者と呼ばれるだろう」と予言して実際その通りになってるのが証拠。アンフェ思想は叩き潰されるのが世の常識だから。

この犯人、向かいの部屋の女に惹かれてたり、水着美女のカレンダー壁に貼ってたり、ただのミソ野郎って訳でもなさそうなところが切ない。フェミニズムやポリコレ思想が美しいスローガンのもとに、一方で弱者を排除し社会的に抹殺し続ける限り、この手のカウンターテロはこれからも先進国では頻発するだろうし、日本でもどんどん起こるハズだし、起きて当たり前なんだよ。
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