えびちゃん

赤い航路のえびちゃんのレビュー・感想・評価

赤い航路(1992年製作の映画)
3.5
ひどい話だった。おもしろい波といい加減にしてくれ、との狭間に揉まれ、再生と停止を繰り返しながら5時間半くらいかけてやっと観た。
お互いの片っぽの足を一緒に縛って、沼に飛び込んで沈んでいくような関係。ベティ・ブルーのような思いやりは感じられないし、哀しみのトリスターナのような狂気は感じられない。愛の嵐のようなタナトスも感じられないし、COLD WARのような激情もない。ジェラシーのような情けなさもない。じゃあこの映画なんなんだ、って。
愛が憎しみにひっくり返り、どうやっても破滅にしかならない。ものすごく相性が良くて、ものすごく相性が悪い。でも、この感覚なんかわかる。ふたり一緒でないと生きていけないのに、ふたり一緒だと生きていけない。破滅にしかならないのにそれでも離れられない。ほんのりわかる、この関係性。
本当にひどい話だった。たまたま居合わせた若い夫婦に自分たちの性生活をさらけ出して、巻き込んでいく。
疲れ果てたふたりの結末は、映画だからこそ叶う落としどころ。未消化ながらわたしの胸はぎゅっとなったのでした。
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