カテリーナ

言の葉の庭のカテリーナのレビュー・感想・評価

言の葉の庭(2013年製作の映画)
3.5
都会の真ん中にある オアシス
緑に覆われた新宿御苑
私の娘がまだ歩けなかった頃
おんぶ紐で友人ふたりと出掛けた
ここだけは別世界
お弁当を広げながら
桜を見上げた 遠く遥か彼方まで
桜の木が続く

春を過ぎ雨の日が続いて梅雨になる
季節のうつろいを静かに見つめながら
物語はモノローグで綴られる
新海誠の映像世界は
期待通り くすぐったくて甘酸っぱい
口一杯に広がるレモネードのように
クライマックスでは
炭酸の泡のように弾けまくった

心にそっとしまい込んでいた
淡い感情は
その瞬間 涙と一緒に押し出される

溢れ出した涙と
その想いはもう、止まらない

うっかりこちらまで
泣きそうになる

思わず息を飲む
美しい映像を
映画館のスクリーンで堪能できて
本当に良かった
アニメーションの限界を超えたと言えるほどの透明な水たまりに落ちる雫や
重みで垂れ下がった葉が水面ギリギリに揺れる 様など 溜息が漏れる
細かい描写にも舌を巻く
黒板に書くチョークの質感や
ノートに書く鉛筆の芯の柔らかさまで
伝わる

そのひとつ、ひとつをじっくりと
確認して 微笑むわたしがいる

お話を楽しむ事は棚に上げて
映画一本分にしては少し短い
この至福の時間

オムレツの卵の柔らかさや挽いたコーヒー豆にお湯を注ぐ音を聞きながら
その映像に思い切り酔いたくなる
そんな新海誠ワールド
カテリーナ

カテリーナ