海

ドリーマーズの海のレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
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「街が部屋に入ってきた。」目が覚めるように霧が晴れるように、夢とうつつの住人がはっきりといれかわる。瞼の裏側とその向こう側。眠たい目を擦りながら見続けていたはずの現実は、いつの間にか夢に変わっていたね。強い幸福感や満足感がいずれ消え去ってしまうとき、今まで以上に何倍も、孤独であることの冷たさを知る。僕は去るよ。君はどうする?ここを去って生き延びるか、留まって死を迎えるかだ。あのときわたしをゆっくりと満たした乳白色の海は、あの二人を取り囲んでどこへも逃がさない羊水だったのかもしれない。いまだ、狭い子宮の中で、もうとうに小さすぎる籠の中で、二人はいつまで抱き合っていられるだろう。愛していると君から言って。永遠に。二人は永遠だと言って。それだけでいいから、嘘でいいから、唇から唇に、言葉をなぞるだけでいいから、言ってよ、夜が明けてしまうまえに。
海