みや

ファイナル・デスティネーションのみやのレビュー・感想・評価

5.0
フランスへの修学旅行に向かう高校生・アレックスは飛行機が爆発する夢を見て離陸直前に降機する。正夢となって飛行機は大爆発。アレックスは命拾いするが犯人だと疑われ、彼と一緒に降りた人たちは次々と不可解な死を遂げていく。

大・大・大好きな映画!久しぶりに観たが、何度目でも面白い。約25年前の映画でありながら古臭さはまるで無く、最高のヒリヒリ感を味わえた。全てのカットに意味があり、全ての台詞に効果がある。見事に完成された超自然的ホラー映画。

なんてことの無いシーンがスローになったり、アレックスの視線が不自然なところで固定されたり、怖い場面じゃなくても不安感をいい具合に上げていってくれる。カメラワークとBGMが天才的。
そしてしっかり充電した状態で起こる飛行機事故が凄まじい。生きたまま外に放り出されるのも炎で燃やされるのも怖すぎる。1996年に発生したTWA800便墜落事故をモチーフにしていて、墜落時刻や目的地、事故の状況などはほぼ同じらしい。これは今回まで知らなかったから、今年の年始の羽田事故と相まって怖さが更に増した。初めて観た時以来、座ったまま外へ放り出される想像を勝手に幾度して、幾度怯えたことか…。

主人公と一緒に降りた同級生たちと先生は、お風呂場や交差点など現実にありえそうな、とても身近で日常的な事故によって次々と死んでいくから恐ろしい。この25年で技術はとても進歩したけれど、日常生活の基本的な部分は何も変わっていないのかも。どれも今でも十分にありえそう。彼らの行動を見ていると「丁寧に生きよう」と思うのだけれど、いくら丁寧に慎重に生きても回避できなさそうなことが多すぎる。とりあえず乗り物と水場は要注意。

先生も友達も、勿論最初の飛行機に乗っていた同級生たちも、誰一人として悪くないのに死を止められないのが歯痒い。死への描写がじわじわ描かれるのも、一瞬でバンッ!と死んじゃうのも、どちらも可哀想に思えて切なくなってしまう。何と言っても敵は死神。絶望感と敗北感のレベルが尋常では無いからこそ、抗おうとする主人公を応援したくなった。学校の場面はないものの、友情や恋愛が程よく絡んで青春ホラー物の面白さも備わっている。

終わり方が神がかっていて大好き。試写の段階では別の結末だったと知り、その内容を聞いて驚いた。絶対にこの終わり方がいい!見せ方もオシャレだった。
みや

みや