みや

事故物件 恐い間取りのみやのネタバレレビュー・内容・結末

事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

売れない芸人・山野ヤマメはテレビに出してもらう代わりに事故物件で暮らすことになった。何の変哲もない部屋に見えるのに、撮影した映像には怪奇現象がしっかり映っていたことで番組は盛り上がり、ヤマネは「事故物件住みます芸人」として大ブレークを果たす。
コンビを解消するも腐れ縁の続く元相方・中井、売れない時期からヤマメを推すメイクアシスタント・梓など、様々な人がヤマメを止めるが、やっと訪れた売れるチャンスを離さないために、ヤマメは新たなネタを求めて事故物件を転々としていく。

「事故物件住みます芸人」として実際に事故物件を住み歩く芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクション『事故物件怪談 恐い間取り』が原作。原作は既読だがうろ覚え。恐らく事故物件の話がメインで、芸人側の話は少なかった気がする。映画ではお笑いの裏側をちょこっと見られたり、女の子との色恋沙汰があったり、ストーリー部分がかなり増えていた。

お笑い番組のためという根底があるから比較的ポップなのだけれど、だからこそギャップで薄気味悪さが生まれる。明るいキャラクターが多く、主人公自身も飄々としているからこそ、怯える梓ちゃんが「恐怖」をもたらしてくれた。不動産屋の女性がインパクト抜群で妖しくて常に楽しそうで好き。「自殺、病死、殺人。どれにします?」がテンポよくて思わず笑った。

呪われた一軒の家ではなく、事故物件を渡り歩いていくのが他の家ホラーとは違う、この作品ならではの魅力。色々なパターンの怪異現象が起こるので、飽きずに楽しめた。
幽霊的な人たちが人型であーだこーだやったり、体を乗っ取られてすったもんだしたりするのは、どうしてもコメディになっちゃう。これだけだったら完全に残念ホラーだったと思うが、この作品では間接的な演出が良かった。降りた後のエレベーターが立ち入り禁止の6階へ静かに上がっていく場面とスマホで誰もいない所に顔センサーが反応する場面が特に好き。

必死に悪霊祓いするのが主人公じゃなくて元相方なのは予想していなかったのでびっくり。お前がヒーローだったのか!お前はヒロインだったのか!あまりにチープだから萎えてしまったけれど、ここまでがっつりエクソシストな展開になるとは思っておらず、意外性を楽しませてもらった。

引っ越しも独り暮らしも私には絶対無理だ。
みや

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